A社は、B社にソフトウェアの開発を委託し、それを稼働させるためのサーバとクライアントPCを購入したところ、目的物となる納品物が、契約内容に適合しない事実を知った。民法の契約不適合責任に関する記述として、適切なものはどれか。ただし、 A社とB社の間で契約不適合責任に関する特約は合意されていないものとする。
- A社が、その方法を指定した上で目的物の修補、代替物又は不足分の引渡しの請求を行った場合、B社は、A社が指定した方法に必ず従う必要がある。
- A社には、契約不適合の程度に応じた目的物の修補、代替物又は不足分の引渡し、損害賠償、契約の解除、及び履行の追完請求を行ったが履行の追完がなされない場合における代金の減額を求める権利がある。
- A社は、目的物の修補、代替物又は不足分の引渡しの請求を行う場合、成果物の引渡しから1年以内に請求をしなければならない。
- 契約不適合責任は、無過失責任に該当するので、B社の帰責事由の有無にかかわらず、A社には損害賠償請求が認められる。
出典:令和5年度 システム監査技術者試験 午前2 問15
正解:イ
明確な出典がない問題です。
特定の企画やガイドラインに基づくものではなく、一般的な監査やITガバナンスの考えをベースに回答を絞り込みます。
回答ア:
誤りです。「B社がA社の指定に必ず従う必要がある」という強制力があることを問題の中から判断することはできません。
回答イ:
正しい記述です。契約不適合に応じて「修補・代替物の引渡し・不足分の履行・損害賠償・契約解除・代金減額」の請求が認められており、履行の追完がなされない場合には代金減額請求も可能です。
回答ウ:
誤りです。「1年以内に請求しなければならない」という記述は、民法上の履行期間とは異なり、契約不適合責任では適用されません。
回答エ:
誤りです。契約不適合責任は無過失責任ではなく、売主側の帰責事由が問われる形なので、B社が法的責任を負うためには過失の立証が必要となります。