固定資産管理システムの IT に係る全般統制として、最も適切なものはどれか。

  1. 会計基準や法人税法などの改正を調査した上で、システムの変更要件を定義し承認を得る。
  2. 固定資産情報の登録に伴って耐用年数をシステム入力する際に、法人税法の耐用年数表との突合せを行う。
  3. システムで自動計算された減価償却費のうち、製造原価に配賦されるべき金額の振替仕訳伝票を起票する。
  4. システムに登録された固定資産情報と固定資産の棚卸結果とを照合して、除却・売却処理に漏れがないことを確認する。

出典:令和5年度 システム監査技術者試験 午前2 問8




正解:ア
1. 問題のポイント
この問題では、固定資産管理システムにおける IT 全般統制(ITGC: IT General Controls)に関する適切な統制を選ぶ ことが求められています。
IT全般統制とは、システムの信頼性や安全性を確保するための統制であり、具体的には 「システムの変更管理」「アクセス管理」「運用管理」 などが含まれます。

選択肢の中で 「最も適切なもの」 を選ぶ必要があります。


2. 各選択肢の検討
ア:会計基準や法人税法などの改正を調査した上で、システムの変更要件を定義し承認を得る。(✅ 正解)
これは システムの変更管理(Change Management) に該当します。
法改正や基準変更に応じてシステムを適切に更新することは、IT全般統制において非常に重要なプロセスです。
システム全体の信頼性に関わるため、IT全般統制として最も適切な選択肢です。

イ:固定資産情報の登録に伴って耐用年数をシステム入力する際に、法人税法の耐用年数表との突合せを行う。(❌ 不適切)
これは、業務プロセスの正確性を確保するための アプリケーション統制(ITを利用した業務処理の統制) に該当します。
IT全般統制は システム全体の管理 を目的とするのに対し、この選択肢は個別の業務プロセスの正確性を高める統制のため、適切ではありません。

ウ:システムで自動計算された減価償却費のうち、製造原価に配賦されるべき金額の振替仕訳伝票を起票する。(❌ 不適切)
これは、財務会計の業務処理に関する話であり、IT統制というよりは 業務プロセスの統制(アプリケーション統制) に該当します。
IT全般統制の範囲を超えているため、不適切です。

エ:システムに登録された固定資産情報と固定資産の棚卸結果とを照合して、除却・売却処理に漏れがないことを確認する。(❌ 適切だが、最適ではない)
これは データの整合性や正確性を確保するための統制 であり、運用管理(IT Operations Management) に関連するものです。
IT全般統制の一部として適切な要素を含みますが、「最も適切なもの」としては システム変更管理の方がより重要 であるため、正解ではありません。


3. まとめ
✅ 正解は「ア」(システム変更管理) です。

IT全般統制は、システム全体の管理を目的とした統制 であり、法改正に伴うシステム変更管理は、その中でも特に重要です。
他の選択肢(イ・ウ)は 業務プロセスの統制(アプリケーション統制) に該当し、不適切。
エもIT全般統制の一部に関連しますが、システム変更管理ほど本質的ではない ため、「最も適切なもの」にはなりません。

最終的な解答
「ア:会計基準や法人税法などの改正を調査した上で、システムの変更要件を定義し承認を得る。」