金融庁"財務報告に係る内部統制の評価及び監査に関する実施基準(令和5年)"に関する記述のうち、適切なものはどれか。
- ITに係る全般統制の不備は、直ちに開示すべき重要な不備と評価される。
- 監査人は、 内部統制報告書を全体として虚偽の表示に当たるとするほどではないと判断したときは、いかなる場合も意見を表明する必要はない。
- 金融商品取引法による内部統制報告制度は、財務報告の信頼性以外の他の目的を達成するためのI の統制の整備及び運用を直接的に求めるものではない。
- 財務報告に対する影響の重要性が僅少である事業拠点について、いかなる場合も内部統制の有効性の評価範囲に含める必要がある。
出典:令和6年度 システム監査技術者試験 午前2 問9
正解:ウ
当該基準全般に関わる適切な記載を問われている問題です。
各選択肢ごとに基準と相違がないかを確認していく必要があります。
回答ア:
「ITに係る全般統制の不備」とは財務報告に重要な影響を及ぼす可能性の高い不備を指します。
"当該不備は財務報告の虚偽が発生するリスクに必ずしもつながらないため、業務処理統制が有効であると検証されていれば、直ちに開示すべき重要な不備とは評価されるものではない"とされています。
”直ちに開示すべき~”とされない場合があるため不適切です。
回答イ:
監査意見の除外については”虚偽の表示に当たるほどではない~”場合、”除外付き事項を付した限定付き適正意見を表明しなければならない"とあります。
"いかなる場合も意見を表明しない"とはならないので不適切です。
回答ウ:
正しい記述です。内部統制の目的と関係に関連した事項になり、金融商品取引法による内部統制報告制度は主として「財務報告の信頼性」の目的達成をするためにあります。組織全体の業務との関連性を理解した上で内部統制の整備が求められますが論点としては「財務報告の信頼性」になり、回答文の内容と一致しています。
回答エ:
「評価の範囲の決定」に係る事項で、重要性が僅少である場合、その重要性を勘案して評価対象としないことを妨げるものではないとあります。
”いかなる場合も含める”とはならないので不適切です。
出典:https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kigyou/kijun/20230407_naibutousei_kansa.pdf