「みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史」を読んだ感想

「え? 終わらないと言われてたシステム開発が終わってたんですか!? さぞかし面白い話が聞けるんでしょうね?」

誰が言ったか、「IT業界のサクラダファミリア」こと、みずほ銀行システム統合プロジェクトの難航ぶりについて、聞いたことある人は多いんじゃないでしょうか。私もそんな一人だったりするんですが、いつの間にか完成していたようで、関係者の苦労話が本になったとなれば興味もわきます。

しかし実際は、、エンジニアとしては物足りず、一般向けという感じです。

注目度の高さは疑いようがなく、2020年2月18日に初版が発行されているんですが、手元の本は2月26日に”第4刷”となっているので、売れてることは間違いないようです。

翔泳社の「ITエンジニア本 大賞2021 ビジネス書部門ベスト10」にも挙がっていて、業界的な注目度が高い本だと思います。

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読んだ本

みずほ銀行システム統合、苦闘の19年史 史上最大のITプロジェクト「3度目の正直」

本屋で専用コーナーが作られてました。

前述したITエンジニア本大賞!ってコーナーでしたね。

5年ぐらい前に「ああこういうのあったなぁ」と思い出し、勢いで買いました。

感想

主要部分のざっくりした流れ

  1. システム統合ってとっても大変!
  2. こんな苦しいことがあったよ!
  3. 被害が大きくなったよ!
  4. でもなんとかまとまったよ!
  5. ここはこうすべきだったよね!

ざっくりこんな流れだったかと思います。

既存の業務をもっと効率化したい、定期処理に柔軟性を持たせたい、などの課題解決が統合の目的の一つにあって「なるほど、それはそうですよね」ってことが多いし、レガシーな作りになっていて、ブラックボックス化して手が付けられない機能がいくつもあることに「あるある」と身近に感じるなぁと思いながら読んでました。

3つの銀行システムを統合する、こんな経緯があって・・・

経緯はあまり興味はなかったんですが、経緯がわかったほうが多少面白くなるかもしれません。

みずほに限らず、他行のシステム更新の過去とか、「銀行システムの歴史ってこんな感じなんだな」と思うと、金融業界のIT事情の理解が深まったような気がして面白いです。

※ここはウィキペディアを読む面白さに似ているかもしれない

全体的な所感は

内部関係者(現場のエンジニア)のインタビューは欲しかったなーと思いました。

記者会見とかの外部向けのインタビュー時の内容はまとめられていましたが、実際に手を動かしたエンジニアたちの綺麗ごとなしの話を聞きたかったですね。

超巨大プロジェクトの度重なるリスケとなると、どう考えても凄惨な開発状況だったと思うんですが、そのあたりの深堀があまりないというか、残念極まります。

エンジニアだったら「IT業界のサクラダファミリア」と呼ばれたシステム開発の裏話が読める!?ってところを期待すると思います。自分もそうです。

どんな辛い思いを開発中に味わったか、、、IT業界は過酷な労働環境を3K(キツイ、汚い、帰れない?諸説ある模様)なんて言われていたこともあります、多かれ少なかれ同業者のデスマエピソードは興味深いと思う人は多いのではないでしょうか。

このあたりの責任はエンジニアではない責任者たちの判断ミスや決断力不足、リーダーシップ不足などでまとめられているので、期待外れ感はありますね。ただエンジニア目線以外であれば、そういった開発現場の声は興味ないと思うので、一般向けと考えるとこれが普通なのかなとも思います。

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